以下は
「出過ぎる杭は打ちにくい!」の著者の
黒木安馬さんと
慶応大学医学部教授の坪田一男さんとの
会話ですが、とても面白かったので少々長いですが
ぜひお読みいただきたい。
長くて読むのがたいへんな方は、
文字色を変えた部分だけでもお読みいただきたい。
「赤ちゃんは生きている状態を保つ為に
基本的な脳は活動しているのですが、
おでこの部分にある前頭前野は、
人間として考え創造する力、意欲や集中力、
行動や情動の理性制御をする最も重要な働きをするので、
18〜20才でようやく完成するらしいですよ。
そこは、コミュニケーション・意思決定・身辺自立・
短期記憶など、より良く生きていくために必要な
精神活動を受け持つ部分です。
146億個の脳細胞は毛細血管の血栓によって
一日に10万個ずつ死滅しているのをご存知ですか?」
「10万個もですか! じゃあ、直ぐになくなるじゃないですか」
「いやいや、単純に計算してもゼロになるには
400年かかりますから大丈夫ですよ。
そんなに生きていないでしょ。
高齢者の脳の断面写真を見れば驚くでしょうけど、
死滅した細胞でスカスカになっていますよ。
脳細胞は基本的に蘇生しませんからね」
「本当ですか? でも、さきほど治療とおっしゃったのは?」
「年齢と共に脳は衰えて認知症に近づくのですが、
鍛えれば老化を防ぐどころか成長するのですよ」
「鍛える?」
「方法は3つで、
1、読み、書き、計算をする
2、コミュニケーションをする
3、手指を使って何かをする。
同じ読書でも、黙読は勧めませんね。
頭を使うだけでは意味がないのです。だから暗算、
パソコンもあまり効果が無いようです。
声を出して一日5分以上新聞や雑誌などを“音読”し、
ごく単純な計算は手を使って筆算をすれば、
記憶力も一ヶ月で30%も上昇するのです!」
「えっ! 5分間、声に出して文章を読むだけで、
30日で30%もですか!!」
「黙読や暗算、難しい計算などをしている時の
脳をMRIで観ると、ごく一部だけしか働いて
いないのですが、声を出して文章を読んだり、
これは声の大小に関係ないのですが、
1+4などの簡単な筆算の計算をさせてみると、
脳全体が著しく働いているのが分かります。
だから、脳を鍛えるには、朗読と単純計算が
素晴らしく効果的で、これが脳を活性化させるのです。
これが“治療方法”なのです」
「へ〜え、声に出すだけで、治療法になるのですか?
じゃあカラオケなんかも良いと言うことですね」
「いや、カラオケは楽しいモードでしょ。
TVもああちょっと休憩しようかなと言うときに漫然と観ますよね。
ですから、TV・漫画・ゲーム・カラオケは前頭前野を
お休みモードにしすぎるので、脳は逆に退化するのです」
「そうかあ、休憩や快楽モードは脳を使わないわけですね?」
「会話コミュニケーションや旅行、
それに遊びは3人以上でした方が脳をかなり回転させるし、
料理は切ったり炒めたり、盛り付けとかで
色々と考えて手を動かすので脳をかなり活性化するのです。
例えば、夕食は何を作ろうかなと考えながら冷蔵庫を開ける。
残っている食材を見ながら、そうだ、カレーライスにしようと決める。
すると、まず皆が食卓に着く時間を想像して、
そこを基点に作り始めるタイミングを逆算したり、
出来上がりをイメージして、足りないもの、手順、
サラダなど、ありとあらゆる映像が頭の中をめぐる。
これは物凄いスピードで脳を働かせることになるわけです。
と言うことは、嫁に台所を明け渡すと、
その段階から老化が促進されることになるのです」
「なるほど、じゃあ、婆さんをボケ加速させるには、
台所にいっさい立たせないで、
ずっとTVを見せてやればいいわけですね!
みごとな完全犯罪!」
「いやいや、ボケられたら、面倒ですよ」
「ハハハ、我が家の娘が、そんなこと言うなら私グレてやる!
って怒ったことがありましてね、
それで私は、ああそうかい、おまえがグレるなら、
じゃあオレはボケてやるっ!と返したら、
ビビッてしまいましたよ。後に残った者は困りますからねえ」
「なんとも愉快な家族ですねえ。
まあ、いずれにしても書くことは、考えることよりも
作業の中身に意味があるわけですね。
指を使うとボケ防止になると言われていますが、
それは猿の実験のことであって、
楽器とか絵を描いたり、工作したりと目的を持って
指を使うときだけ活性化するということですよ。
人間は一度に7つまでしかおぼえることができませんからね。
寝たっきりでまったく反応なしだった重度のアルツ
ハイマー患者のビデオを観せて貰ったことがあるの
ですが、反応が無くても継続して毎日、耳の隣で
朗読、読み聞かせをやっていると3ヶ月後には
ベッドから起き上がるまでに快復し、その後は
座って自力学習を始め、そして、なんと90才近くに
なってもなお英会話の勉強中のお婆ちゃんもいましたよ。
ビデオカメラに向かって、手を振りながら“See
You!!”なんて英語でしゃべるのですよ。
ボケは3〜6か月で9割以上の人が、音読と
手書作業で復活するデータもありますからねえ。
集中力や記憶力、創造力とヤル気は、音読するだ
けで圧倒的に向上させることができる──
日々わずか10分程度の努力だけで奇跡が起きる
ことが医学的に証明されている、
これってもっと多くの人たちに知って欲しいですよ
ねえ。
それに心の健康の秘訣はね、何ごともYESで肯定
することなんですよ。
誉めることも、その場でフィードバックすることに
意義があるのであって、5分後では意味がない。
調査の結果では、100才以上の長寿者の共通点
は、
“胸に心配事をためないこと”、
早い話が、ネアカが一番ということですね
コメント