「お宅のブランデーケーキが気に入っているの」とわざわざ電話を

くださったのは、以前住んでいたご近所の85才になるマダムである。

この夏風邪をこじらせたのが、いまだに尾を引いていて体力が

かなり消耗し、主治医の先生に相談したところ即刻入院、といわれたそうだ

体力は消耗しても気力はちっとも衰えていないので、「そのうちに・・・」

と言って逃げ帰ってきたという。

入院したら何でも身の回りのことはやってもらえるので、楽になり

逆に寝たきりになってしまう、と言うのだ。

人間、楽をしたら終わりよ、
というのがマダムの口ぐせであるが、

育ちの良さと、教養の高さは顔付きに出ていて苦労したようには見えない

「生活は手に年齢は首に人格は顔にでる」というのは本当だと

つくづく思う。

といあえず体力を付けようと、今まではスタイルを気にして食べないで

いた甘いものや高カロリーのものも食べるようにしたという
(85才のマダムが・・・である)

そうしたら逆に何かにあたった時のように、胃がムカムカして大変な目に

あったらしいが、ブランデーケーキだけは大丈夫だったと本当に喜んで

いただけた。これは作り手としても最高の喜びである。

3年ほど前から必ず毎月1本ご注文くださる。

日持ちがするので保存食にもなるし、食欲がない時の栄養源にもなって

助かるわ、言ってくださった。

たった1本のブランデーケーキがこのようなご縁に繋がったことを

心からうれしく思う。